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短篇小説

帽子 1


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この物語は筆者の空想によって書いた。登場する人物は全て
架空の人で実在しない。ちょっと幻想的な雰囲気が漂う・・



典子は帽子が好きである。それも今流行りの帽子が・・
気に入った帽子を被って外出すると何故か気分が落ち着くし、ちょっとお洒落をした気分になる。
帽子さえ巧く被れればそれでその日の全てが調子良く進むとさえ感じる。
けれども最初からそうだった訳ではない。
帽子が好きになったのにはそれなりの経緯がある。
実は最初、帽子にはそれほど大した関心はなく細やかな憧れぐらいは持っていたのかも知れないが、だからと言ってお洒落な帽子を被って歩く自信というものがまるでなかった。

ある時、手袋が欲しかったので婦人物の手袋売り場の辺りを歩いていた。
手袋の隣がすぐ帽子売り場だった。その時、何故か手袋のことは忘れてしまって妙に帽子のことが気になり始めた。手袋は幾つか持っているから、まぁ良いか…なんて、心の中ではすでに手袋を今日は買わない決心をしていたのかもしれない。
実は先程から沢山な帽子の中で一つだけ妙に気になる白い帽子があった。
その帽子はツバが少し細めで全体的に平たい感じで、ちょっと言えば鳥打ち帽を婦人物にしたみたいな形だった。

(う~ん、なかなか素敵な帽子だわ。こういうのが今の流行なのかも・・こんな帽子を被って歩けば何か素敵なことがきっと始まるに違いない…)とまで思った。
背伸びして恐る恐る帽子を手に取って被ってみた。
お店の備え付けの鏡の前に急いで歩いて行って、帽子を被った自分の顔をそっと映して見た。でも、
「あぁ、私が被ると、やっぱりこんな程度なんだわ…」と案の定がっかりとした。
帽子は完璧に素敵でも自分の頭の形が良くない…
帽子は典子の頭から浮き上がって見えていた。
普段から気にしている細長い頭がよけい細長く見えて滑稽な感じさえした。
「こんな素敵な帽子は結局自分なんかには不釣り合いということなのね。もっと、美しくてスマートなファッションモデルみたいな人が被る為に作られてるのだわ。やっぱり駄目ね・・」なんて心の中で呟いた。
帽子を脱ぎかけた時、不意に、
「帽子よくお似合いですよ!」とやにわに声を掛けて来たのは、帽子売り場の店員さんだった。
「そうですか。それがあんまり似合わないのです。とても気に入ったんですが…」と、典子が小さな声で言うと、、
「そんなことはありませよ。よくお似合いになっていますよ。」

店員さんがにこにこ笑いながら典子の前に立って帽子の両端を両手で持つと、頭に深く被せるように帽子をぐっと引き下げた。
「ほ~ら、これでどうですか?よ~く鏡を見て下さい。素敵ですよ。」
店員さんに言われるまゝ、典子はもう一度鏡を見た。
すると、どうしたことか、今度は帽子が自分の顔に嘘のようによく似合って見えた。
(なるほど、もう少し深く被れば良いだけのことだったのね。これなら大丈夫、被って歩けるわ。)と急に嬉しくなって典子の心はワクワクした。
それにしても店員さんって、やっぱり凄い。
プロだけのことがあるなぁと感心しながら勿論、その帽子を何の疑いもなく良いと信じてすぐに買うことにした。

「あのう、帽子を今から被って帰りますので…値札を外しておいて下さい!」とレジでお金を支払う時に頼んだ。

典子は早速帽子を被ってウキウキしながら初夏の午後の道を歩き始めると、まるで普段の自分とは別人になったみたいな気分になった。
これなら自分だってまだまだ何でも出来るわと思いながら、ますます喜ばしくウキウキと歩いた。

ー続くー



↑の帽子の画のアドレスは↓
http://www.enosato.co.jp/enosato/artist/d_fuyusima/d_fuyusima.htm





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