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短篇小説

金魚のその後 最終回


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この短篇は、過去に書いた「廃品回収」の続きのようになりました。
「金魚のその後・・」だけでも独立して読めますが、良かったら
8月11日の過去の記事にさかのぼってクリックしてお読み下されば幸いです。
なお、この作品の登場人物は全て架空の人で実在していません。
全て作者の空想で書きました。どうか最後まで応援して下さい!



リビングに家族が集まって愈々夕食の時間になった。新しい人が初めて加わったので台所ではなくリビングで食べることになった。
テレビの画面には相変わらず北朝鮮と韓国のことが報じられ映っている。早く平和が戻って欲しいものである・・と誰もが思う。
マスオさんに押して貰って車椅子に乗ったお婆さんが最後にテーブルの真ん中の席に着くと、いよいよ食事が始まった。6人分のご飯を弥生が入れてアキがスープを同じく6人分入れると皆が声を合わせて「頂きま~す!」と言ってそれぞれ食べ始めた。猫のミーコも何処からかやって来て、ちゃんと自分用の椅子の上に行儀よく座っている。
暫くは誰も皆黙々と食べていたが「ボク、玉子焼きもっと食べたい…」と一平が言ったので弥生はすぐ自分の皿から半分を分けて一平の皿に入れてやった。

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マスオさんがテーブルの真ん中に置いてある漬物の入れ物から沢庵を取ってお婆さんのお皿に入れて上げている。
高校生の辰男は黙りこくってテレビばっかり見ていたが
「お母さん、俺、英語のノートもう無くなったから買って欲しいんだけど…」と弥生を見て言う。
「そう、確かこの間もノート買うと言ったから渡したと思うけど…」
「あれはね。数学だよ。すぐに買わないと明日間に合わないから…」
「そうなの…判ったわ。じゃぁ、後から渡すね。」
「判った。」
すると今まで黙っていたアキが壁際に置いてある水槽を見ながら皆の前で初めて声を出した。
「金魚もいるんですね。赤くて綺麗ですね・・」
「そうでしょう。この金魚はね。私が前の家から連れて来たんです。もうだいぶ長い間生きています。こちらに来てからずい分沢山増えました。」
一平が「卵を産んだんだよ・・ねぇ、そうだよね。」と弥生の顔を見て念を押してから「それで、増えたんです。」とアキに説明した。
「そうなの。可愛いわね・・」
赤い金魚たちが青い水藻の揺らぐ隙間を背ビレ尾ビレをひらひら動かしながら何気ない顔をして泳いでいる。
その時、電話が鳴った。
マスオさんが立ち上がって電話機のある所まで行くと受話器を耳に当てた。
「もしもし…判りました。そう伝えますので…」と言うとすぐに電話を切ってアキに向かって言った。
「アキさん、ご主人が明日、貴女を迎えに来ると言っておられますよ。」
アキはちょっと驚いたような顔をしたがすぐに「判りました。私、明日帰ります。」とキッパリと言った。
まるで何も無かったかのように誰もが黙って食事を続けた。
秋の夜が静かに更けて行った。

ー完ー






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