くろねこ時計


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月のひかり☆

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短篇小説

「白い壁 10

siroikabe.jpg

ファンタジーぽい作品です・・
ちょっと不思議な青年Kと詩織との愛と恋の入れ混じった
ロマンチックな物語・・応援よろしくお願い致しま~す。


空は相変わらず真っ青だった。

Kが詩織の顔を見ながら又尋ねた。
「何処か是非行ってみたいと思う所ありますか?」

「いいえ、特にはありません。と、言うより私、何時ものことなのですが、どっちの方向に向かって歩いて行けば良いのか全く判らないのです。何も今に限ったことではありませんが・・」

「ふぅむ・・それは困りましたね。何処かに行く時は目的地を決めて歩いて行く方が良いと思いますよ。」

「そうかもしれません。じゃぁ、私今から何処に行きたいか考えることにします。」
詩織は今まで、他の人の言うことは殆んど信用出来ないことが多いと思って過ごして来たにも拘わらずKの言葉だけは何故かそうではなかったので、嘘のように素直に従う気持ちになるのだった。

「そう、そう!それが良いです。」

Kが前方の景色を眩しそうに目を細めて見ながら指を差して言った。
「では、彼処に見えているあの白い街に一先ず行くことにしましょう。」

「あぁ、何て綺麗な街…!あんなに美しい街があったのですね。私、今までちっとも知りませんでした。」

「そうでしょう。そうでしょう!知らなくて当然です。詩織さんにとっては初めての街ですから・・綺麗な街でしょう。」

詩織とKとはしっかり手を繋いだ儘白く続く道をどんどん歩き続けた。

不思議なことにその道には、二人の他には人影は全く無く、時々、鬼ヤンマのように目玉が真ん丸くて胴体が緑色をした詩織が今までに一度も見たこともない大きな美しい昆虫が飛んでいた。

oniyannma3.gif

(何て大きな素敵なトンボなの!トンボ近頃滅多に見たことが無かったので、ちょうど良かったわ・・それにしても喉が渇いた・・)
等と考えながら歩いた。

トンボは二人の目の前を大きく旋回して青空高く何処かに飛んで行ってしまった。

「もう直ぐですからね。だいぶ歩きましたね。疲れていませんか?」
Kが優しい目で詩織の顔を見ながら言った。

「いいえ、全然疲れてなんかいません。」
と言いながら「喉が渇いています。」と言い掛け、ふと、口を噤んだ。

爽やかな風が又一陣「ひゅ~」と詩織の頬を撫でながら通り過ぎて行った。

何気無く後ろを振り返ると、、
Kと一緒に歩いて来た一筋の道が緩やかに曲がりくねりながら何処までも細く長く続いて見えていた。

ふと、教科書で読んだ高村光太郎の詩を思い出したりした。

僕の前に道はない
僕の後ろに道は出来る
ああ、自然よ
父よ
僕を一人立ちさせた広大な父よ
僕から目を離さないで守る事をせよ
常に父の気魄(きはく)を僕に充たせよ
この遠い道程のため
この遠い道程のため

詩織が声に出して口ずさむと、

「あぁ、それは高村光太郎の『道程』という詩ですね。
素晴らしい詩で、僕も大好きです。」
と、Kが言った。

ちょうど、その時だった。

ー続くー




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